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  連載コラム 2009.夏 最新号

札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
「年金を上手に受け取る知恵」
 
 5月22日開催の平成20年度通常総代会において、改めまして私は、代表理事として5期目の選任を受けた所であります。最後の任期としての2年間を、札電協の舵取り役として全力を尽くしたく存じます。紫煙愛読の皆様の一層のご支援をお願いいたします。

 理事長就任の挨拶は早々に切り上げて、表題の「年金を上手に受け取る知恵」について、私なりに調査研究したことを読者の皆様にご案内申し上げ、役立てて頂きたく思います。

 皆さんが長年掛け金を納入し続けた年金受給者としての権利は、満60歳の誕生日を迎えた時点で得られます。但し、受給権を得ただけであって、次なる対処をしなければ、その権利の内容の把握、ならびに実際の受給は実現されません。皆さんの年齢が60歳に到達する数ヶ月前に社会保険事務所あるいは在住する行政機関より、年金請求書が自宅へ送られて来ます。

 「自分は65歳から受給を受けた方が沢山年金が貰えるから」などと思わずに、年金請求書が送られて来ましたら早速必要用件を記入して返送をするべきであります。請求書を返送し、おおむね1ケ月前後で「国民年金・厚生年金保険年金証書」が送られて来ます。この証書には貴方の年金の支給停止額と支給年金額が「年金保険裁定通知書」として明記されています。この通知書が手元に存在していれば、ひとまず安心です。

 なぜ請求手続きが重要であるかと言えば、残念なことに貴方の年金受給権利が発生しても、社会保険庁ならびに行政機関は、貴方に代わって受給手続きをしてくれません。最近生命保険金の未払いが問題視されていますが、権利者が自ら請求手続きをしなければ、権利は履行されないのです。この事は欧米社会では当たり前のことでありますが、ついつい権利が喪失してしまうことが多々あるのです。少し安心して頂くために、権利喪失には5年間の時効がありますことをお知らせしておきます。

 現在の日本の年金制度では年金受給対象年齢を段階的に繰り上げ、現在年齢48歳以下の方は、65歳に達して初めて、年金受給対象者となる制度に変わってしまったのであります。48歳以上64歳未満の方は、年齢に応じて受給年齢の種類が異なります。

 組合員の皆様の年金は、報酬比例部分・定額部分・厚生年金基金部分と3階構造となっています。では、受給対象者が60歳に到達し、どの年金が受給されるのかを、実例を上げて説明させて頂きます。今年4月に還暦を迎え60歳となり、年金請求書を提出し「年金保険年金証書」が手元に届いた方は、1階部分である報酬比例部分の年金が支給されます。但し1ケ月の給与報酬が28万円以下の方に限られます。また、支給金額について、当然のことながら個々の違いはあります。2階部分の定額部分は、64歳になって初めて支給されます。また「北海道電気工事業厚生年金基金」に加入の方は、1階・2階部分に関係なく、請求を行うことによって受給できます。

 ここで私の年金受給計画をご案内し、皆様の参考として頂ければと思います。私の現在の報酬比例部分の基本年金定額は、年額で1,295,600円です。現在の支給停止額は991,800円で支給額は303,800円です。更に厚生年金基金の支給額45,000円程です。このままでは、年金は年額で753,800円しかありません。そこで停止の991,800円の支給を受ける方法があります。現在私は双豊電気鰍フ常勤取締役会長の立場で報酬を頂いており、多額の健康保険料と厚生年金保険料の負担を強いられており、会社も同額の負担をしているのであります。

 来年5月からは、非常勤取締役会長とさせて頂き、会社からは月々20万円ほどの非常勤会長報酬を頂くことにより、支給停止額の991,800円も支給を受けることができ、年額合計で175万円程度の年金を受け取ることができるのです。更に、会社が負担している健康保険料と、厚生年金保険料の負担が無くなるのです。65歳まで厚生+−年金保険料を掛け続けていれば、年金の支給額が増えるとの考えもありますが、例え増加しても、月々10万円も増加するものでもなく、せいぜい月1万円程度でないかと思われます。また常勤取締役と非常勤取締役の違いにより、対外的に影響が出るのではないかと危惧されますが、常勤会長または非常勤会長など区分した名刺などは見たこともなく、特に問題はありません。

 今現在、60歳から64歳の皆さんで、後継者がいらっしゃる方は、実務は「社長」であっても、肩書きを取締役会長と改め、年金対応としては非常勤会長扱いとすることにより、従来の手取金額は同等でも、会社負担が年額で100万円規模の節約に繋がりますので、是非ともご検討下さい。尚、健康に対する担保のために、国民健康保険の加入はするべきであり、年額20万円程度の負担となります。

 私達善良なる社会人としては、唯一国から頂くことのできる手当は、年金しかありません。飽食の時代に生きた60代の皆様は、現在の平均寿命まで健康で生きられると思っている方は少ないのではないかと思います。ですから年金は早めに受給されると共に、受給権すべてを行使すべきであります。北海道電気工事業厚生年金基金の事務所に、6月1日より年金相談局を設け、平田事務局長をその任に当てますので、組合員の読者皆様は、遠慮なくお越し頂きますことをご案内し結びと致します。


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