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  連載コラム 2008.春 最新号

札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
「 善良なる社会的弱者を守るべき社会保障制度の提言 」
 「そんな事ありえない」、「開いた口が塞がらない」、「非常識」、「呆れて物も言えない」、「無責任」、「倫理意識の欠如」、あげれば際限がなく一般的には考えられない不祥事が、滝川市にて明るみに出たのは昨年の秋のことであります。他でもない総額2億円にも昇る生活保護と介護保険制度を悪用した、不正受給事件であります。「本当に悪いのは誰か」、あるいは制度そのものの検証がなされないままに、事が進んでいるように見えてならないのは、私ばかりではないように思います。

 いつの時代にも制度を悪用して悪事を働くものが、居ることは事実であります。当然、支給する立場である地方自治体あるいは担当職員は、その隠された事実を認識しながら、チェックをする義務を負っていることは常識であります。またその常識を履行するのが行政マンとしての誇りであるとともに、善良なる社会的弱者の救済という使命も負っているのであります。滝川市の生活保護支給担当職員、並びに関係する部署の体制に冒頭で記した際限なき怒りをぶつけたく思います。

 悪事を働いた当事者には、当然のことながら詐欺罪並びに公金横領罪なる厳罰が科せられることは明白であると思います。しかしながら、市職員に対しての罰則に関する記事は、どこにも記載されていないのも不思議なことであります。私から言わせて頂けば、関係者に対して何らかのペナルティが科せられて当然であり、そうあるべきだと思います。
 関係する職員が1ケ月2千万円もの介護タクシー代の請求を見過ごすことはありえなく、見てみぬふりをしたのが事実であると思われます。これは歴然とした犯罪行為であります。

 私自身2006年の紫煙において、札幌市の生活保護費の不正支給を指摘致しましたが、現実となって表面化しております。改めて、その一端をご紹介させて頂きます。札幌市の年間の一般会計予算が8千億円を割るのではないかと言われている現状で、1年間の生活保護支給が800〜900億円に達し、年間予算の1割以上の歳出となっています。このことはあくまで推測ではありますが、善良なる弱者の影に隠れて、偽装離婚などによる不正受給者も潜在していることを警鐘してきた所であります。今回の滝川市の問題発覚で裏付ける結果となりました。そしてまた、札幌市においても、この2月には盲人・あるいは聴覚障害者を装った不正受給が明るみに出ています。しかし、それは氷山の一角であり、これまた推測ではありますが金額の多い少ないは別として、不正受給者は相当数いると思われます。

 例えば病気持ちで仕事が出来ないとの理由で受給対象者となり、煙草の煙が充満している劣悪な環境の基でパチンコ施設に入り浸っている、あるいは離婚したにもかかわらず同居している……例をあげればきりがありません。

 このような不正受給者を見極める基準は、現場チェックをせずに書類審査によって行っている結果であります。役所側も、現場をチェックできない人員体制であることについては理解できます。けれどそれらの言い訳を背景として、結局不正受給者に対する是正対応も一部審査基準を強化することにより一件落着の結論になると思われます。そうなれば、本質的な改善がなされないままに、人々の記憶から忘れられてしまうことでしょう。

 改めて、声を大にして提案を致します。不正受給撲滅は、受給者の適正チェックを強化することにより解決することが出来るのではないでしょうか。具体的には、プライバシーの保護等、考慮すべき点は多々ありますが、実態調査を外部委託するのも、1つの方策ではないかと考えます。仮に病気を装ってパチンコ屋に出入りしている受給者がいたとしましたら、1週間程度の動向調査で、確たる証拠つきのリアルな実態調査が可能であります。それら調査資料を基として、弁護士と連携した受給取消などの強制執行も考えられます。この事が実現できれば数100億円の歳出削減に繋がり、その原資を基に市営託児所を新設し子供がいて働けない理由の受給者に対する支援が可能となります。このような抜本的改善対策こそが善意の受給者の受給権を守る一助となります。善意の受給者にとっても好ましいことではないでしょうか。

 文末になりましたが、私は決して弱者切り捨ての提案をしているわけではありません。札幌市民憲章3章には「きまりをよくまもり、住みよいまちにしましょう」とあります。今後、札幌市民が自覚を持ち、公正な社会となる様、制度作りと啓蒙活動が重要なのです。

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