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  連載コラム 2008.新年 最新号

札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
「 健全なる組織の継承 」
 「紫煙」をお読み頂いています皆様に、改めまして2008年の新春をご健勝でお迎えになられましたこと謹んでお慶び申し上げます。
 私は2月誕生日の早生まれ、来年が還暦であります。一足早く竹内副理事長を始め、同年代の仲間達が今年還暦を迎えます。心身共に健康で迎えられたことを、心よりお慶び申し上げます。

 室町末期の戦国の時代に京都山城の地の油商人が天下統一の野望に燃え、岐阜南部の美濃の国の領主に取り入り、後に斉藤道三と名のり、戦国史に名を残したのは有名な実話であります。結局は実子義竜との戦いで戦死し、その野望は夢まぼろしとなりましたが、その志は娘(濃姫)の婿である織田信長、そして同じような境遇で大名となった秀吉、最後は名家松平家の出である家康へと受け継がれ天下統一の主流の原点となったのであります。

 その道三・信長は戦勝祈願として、「人間50年 下天のうちにくらぶれば夢幻のごとくなり 一たび生を得て 滅せぬもののあるべきか」(敦盛)を舞い出陣したのであります。この時代、心身共に健康で戦えるのは人生50年といましめ、戦ったのです。それから600年後の今、日本人の平均寿命は80才まで伸びたのでありますが、この厳しい社会で企業の長として、心身共に健康で戦うことが出来るのは60才あるいは65才が限界であります。そして余力を残し、事業は後継者にゆだね、花や人を愛でる余生でありたいと願うのは、私ばかりではないと思われます。それが実現できれば「我が人生滅せるのに悔いはなし」、本望であったと思うことが出来るでしょう。

 人間として、この世に生を受け65年の一生など自然界の摂理に比べれば幻に過ぎません。しかし家業(企業)は違います。幾世代に渡り、時代を生き抜くことが可能であります。一国一城の主である中小零細企業の私の仲間は、事業存続のため死にものぐるいの努力をしている所です。しかしながら残念なことに創業者あるいは2代目で、挫折した経営者も沢山見て来ました。

 挫折した経営者に共通することがらを、国盗り物語に置きかえて表現してみます。
 ひとつ国守は、飢饉あるいは城攻めに備え、兵糧を蓄えることが第一である。
  (挫折した経営者には蓄えがなかった。)
 ひとつ国守は、手柄をたてた家来にはそれに見合った褒美を与えよ。結果は次なる戦で更なる手柄を立てる。
  (挫折した経営者は、社員を財産と見ないで道具として見ていた。)
 ひとつ国守は、酒や女におぼれてはならない。
  (交際費を湯水のごとく薄野通いで浪費して、挫折した経営者もいた。)
 ひとつ国守は、ありとあらゆる戦の道具(武器)を準備しなければならない。接近戦には刀、馬上の敵には槍、遠くの敵には鉄砲それらを駆使して生き抜かなければならない。
  (挫折した会社には、単一業務の受け皿しかない所が多かった。例えば役所受注90%以上など、役所にしか通用しない技術者集団となってしまった。)
 ひとつ国守は、身の丈にあった城を建てねばならぬ。5万石の城主が、100万石の城主と同じ城を建てられぬ。
  (今は少なくなったが立派な社屋を建て、それが負担となり挫折した経営者も多くいた。)
 ひとつ国守は、他国の情勢あるいは自国のあらゆる状況を収集する能力を持たなければならない。
  (知らない間に、会社を乗っ取られたという話を聞いたことがある。)
 ひとつ小国の国守は、自ら文武両道を備えねばならない。
  (技術はあるが営業的戦略が出来ず、挫折した経営者もいた。)
 ひとつ国守は、冷徹でなければならない。
  (心情に流され、リストラができなく、挫折した経営者もいた。)
 ひとつ国守は、多くの敵国と同盟関係の強化に努めなければならない。
  (仲間との協調が出来ず、挫折した経営者もいた。)
 ひとつ国守は、家督を譲る後継者を心身共に健康な内に定め、厳しく育てなければならない。それは国守が死しても、未来永劫国が栄える基礎となる。
  (2代目で過保護に育てられ、結果は挫折した経営者もいた。)

 道三・信長を始め戦国の領主はすべからく自らの人生50年と定め、死をかけて戦い、死後も家あるいは国が栄えることを望んだのであります。

 私自身7年前に札電協理事長就任と同時に社業は弟に任せ、将来を託せることを確信したうえで昨年5月に会長に退いたのであります。札電協も同じであり、私が職を辞しても未来永劫繁栄するものであります。

 この事を前提に、理事長就任と同時に、1期目は過去の検証と現状の把握、2期目は新たな目標と計画の策定、3期目は目標ならびに計画の実行、4期目は計画の修正と後継者の育成との任期目標を定め、機会あるごとに皆様にご案内して来た所であります。いよいよ4期8年目を迎え昨年から皆様の支援を得て、後継者をその職責に置き指導している所であります。今年においても、私同様に後継者に対してのご支援をお願いする所であります。

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