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  連載コラム 2007.春 最新号

札幌電気工事業協同組合 理事長 尾池 一仁
  去る、2月22日開催の、北海道電気工事業工業組合第42回総代会において、猪股前理事長の後を継ぎ6代目の理事長として、選任されましたことをご報告いたします。これも一重に、紫煙をお読み頂いている皆様のご支援の賜物と感謝をいたしております。奇しくも、2月22日は私の58歳の誕生日でありました。これも何かのえにしと受け止め、道工組運営に全力を投じる決意をしたところであります。読者の皆様の一層のご支援をお願いいたします。

 「紫煙」は、私個人の雑感紙面として用意いただいていますので、道工組理事長就任の挨拶は前段で済ませて頂き、教育問題について前回の続きをさせていただきます。

 教育の基本は家庭教育からという観点から、教育基本法第10条で次のように定められています。 

@「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身につけさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和の取れた発達を図るよう努めるものとする」

A「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」

 このような至極当然の親としての常識を、敢えて法律で条文化する必要が有るのか疑問に感じるのは、私ばかりでなく皆さんも同じであると思います。でも、人間が人間社会を形成してから此の方、聖書あるいは経文にて親子の責任を明文化した歴史は数千年の歳月をかけて未だ引き継がれています。このことは、家庭教育の基本は人間教育そのものであり、その教えは古来より宗教的教義に委ねられてきたのが現実であります。
家庭教育の基本は、宗教的教義に委ねられてきたとの結論付けをした背景を説明しなければなりません。それには、世界の三大宗教について私なりの見識を理解していただく必要が有ります。

 キリスト教は神がつかわしたイエスキリストが絶対の存在であります。また、イスラム教においてはアッラーの神が絶対神であります。仏教においてはお釈迦様が絶対の存在であります。このように、キリスト教においてはイエスキリスト以外の神は存在を許さない普遍の教義であり、宗教戦争の大義があれば殺戮も許されてきた歴史でもあります。現在も、中東では石油資源の覇権争いが、キリスト社会とイスラム社会の宗教戦争に置き換えられて殺戮が行われています。更に永続の歴史を重ねていくであろうと思います。
このように、キリスト教ならびにイスラム教においては、家庭教育で教会にいくことを義務付け、神の子としての人間教育が徹底され、聖戦の大義のためならば自らの命を捧げるような、極端な忠誠心あるいは愛国心教育が行われているのが現実であります。
過去の日本史においても、国のまつりごとを司る天皇を神と崇め、神である天皇陛下のために戦い死に行くことが、究極の愛国心であるがごとき忌まわしき歴史があったのも現実であります。

 日本社会は神事として子の成長を七・五・三で祝い、仏壇の前で先祖に手を合わせるため、クリスマスに家族に感謝の贈り物をするなど、多種多様の宗教が混在している外国に比べ宗教観が希薄であるように、私たち自身が感じていると思われます。でも私は、日本人の宗教観は世界で最も成熟完成されたものとして受け止めています。
日本人は古来より、山・木・海・川・水・太陽・自然界すべての物に神が宿るものとして崇め、それらに向かい手を合わせることを習慣としてきました。またそれは、親から子へと自然体で受け継がれてきました。このことは、すべてのものを相調和して受け入れる寛容の精神が、日本の文化として定着してきたことでもあります。言い換えれば、日本人には「調和と寛容精神の遺伝子」が備わっているのであります。
もう一度、三大宗教の教義なるものを、検証して共通するものは、それぞれ崇拝する神は絶対的存在であることと、神の名の下に許すあるいは許されると言う寛容の教義があることです。

 一方、日本には寛容の精神文化が定着して、その文化そのものが教義であり宗教であります。多くの日本人はこのすばらしき日本文化を認知しようとせずに、外入の物質文化に傾注しがちで有ります。
アインシュタインをはじめとする世界の多くの文化人は、この日本の寛容文化こそ理想の宗教的概念であると提唱しています。更に、宗教的文化に限らず、茶道、食文化、武士道、かな文字文化など多くの日本古来の文化が、先進国の多くの人々から注目されているのが現実であります。

 最近の、30代40代の家庭には仏壇がなく、子供たちが手を合わせる機会が少なくなってきています。また祖父母が同居せず寛容の精神文化の継承が行われていない結果、親子あるいは夫婦間での殺戮が横行していることは悲しいことであります。しかしこの現実を、私は日本社会の末期的病巣であるとは思っていません。今の若者あるいは子供たちには日本人たる寛容精神の遺伝子が受け継がれています。その遺伝子を何かの刺激で活性化できればすばらしき日本社会の再生につながります。

 具体的結論として、国及び地方自治体が三世代同居世帯に対し、家庭教育特別助成金を支給する具体法案の確立を望みます。それにより本来潜在する遺伝子の活性化が現実となり、我が子の給食費の不払いをする様な、私たちには想像もつかない考えを持つ親たちも減少することと思います。

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